RawTherapee 訂正 アンシャープマスクのしきい値

 去年の11月、アンシャープマスク(USM)機能の「しきい値」に関する自分の解釈を書いたが、かなり違ってたようだ。素人が確証もないまま書いた事とは言え、あの説明を鵜呑みにした人がいたら、申し訳ないことである。ゴメンナサイ。説明を改めますが、これもまた個人の解釈であることをお忘れなく(但し、前回より筋が通っていると思うが)。まず、あの独特な形の「しきい値」カーブ、マニュアルには書いていないがRawTherapeeはこれを「ピラミッド型カーブ」と名付けているようだ、の略式図を示す。
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 縦軸は不透明度で、「見える」「見えない」はシャープ化の効果のことである(どこまでが見えて、どこからが見えないのかはアルゴリズムで決まっているようだ)。シャープ化しようと思っているのに、何で見えなくする必要があるのか?縦軸は、画像の色相、或いはトーン(その両方かも?)の変化の状態を概念的に示したもので、下に行くほど色相やトーンの変化が激しい画像部分ということのようだ。その様な部分では、USMの副産物として、強さの設定にもよると思うが、ノイズやハロようなアーティファクトが発生しやすいらしい。だから、USMの効果は全体に及ぶけど、アーティファクトが出そうな色相変化の大きい部分では見えなくしますということなのだろう。もちろん、ノイズにしても、ハロにしても、それらを軽減させるための別な機能をRawTherapeeは持っているが、調整を行わないで済ませられれば、それに越したことはないと思われる。調整を加えるほど、元写真の自然な部分のどこかが犠牲になる。例えば、ノイズ低減;度が過ぎれば、ノイズは除去できるが詳細が失われる。

 横軸は明るさの範囲である。従って、RawTherapeeのしきい値カーブはUSMをどの明るさの範囲で適用するか決めるようになっている。左の△がシャドウ部分からの適用開始点、右の△が適用の終了点である。では、何故上下△の位置に差があるのか?これは縦軸が関係しているからだろう。マニュアルの言うように、初期設定(デフォルト)で、殆どの画像に対し無難で適切なしきい値と言うことを前提にすれば、色相やトーンの変化が最小限であれば、効果が見えるようにするのがいいのだが、それでも完全に見えていいのは、画像のその部分の明るさがせいぜい中間より少し上の所まで。そこから先は、明るさの増加と、色相変化の増加に合わせて、USMの効果の見え方が徐々に減ってゆく。左のシャドウ部分の△の位置があまり変わらないのは、シャドウ部分では、ハイライト部分のような、明るさに合わせた細かい段階を踏んでも、違いが分からないからだろうと思う。無論、ユーザー自身が好みのしきい値を設定することも出来る(小生の程度の知れた画像では、そこまで気を配る必要はないので、殆ど場合、デフォルトのまま)。

 しきい値のカーブにカーソルを持って来ると、参考画面のように別ウィンドウが現れ、△の座標が示される。開始点と終了点を移動するには、単にカーソルを△の部分に当てて左右に動かせばよい。上の△だけを動かすには、Shiftキーを押しながら、△をドラッグする。理屈から考えれば自然に思われるが、左上の△は左下の△より左には移動しない(右の△の関係はその逆)。
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 こうして、余計な副産物の発生を避けながら、画像全体のシャープ感を高めようとしているのではないだろうか。マニュアルにも書いてあるが、多くのソフトのUSMはハロが発生しやすいらしい。

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この記事へのコメント

961832p
2014年03月07日 16:45
はじめまして。RawTherapeeについて検索していて、こちらの記事が目にとまりました。別記事でもそうですが、新しい機能を積極的に使われていて、とても勉強になります。勝手ながらツイートもさせていただきました。

数年前にレンズ交換式カメラを買いまして、それを機にRawTherapeeを使い始めたのですが、いまだに新機能はほとんど使わずじまい(汗)。加減が分からず色々と弄っていると、どうにもヘンテコな結果になってしまい、けっきょく元画像に戻してしまいます。かろうじて最近トーンマッピングを使うようになったくらいでしょうか。

このシャープネスについても加減が難しくて、自分は苦手です。仰るように、強すぎると色の境目がおかしくなってくるので、いつも軽くかけて終わることが多いですね。
星垂婁
2014年03月08日 11:17
ワオッ!こんな貧相なブログにもコメントが付く事があるんですね。有難うございます。

マニュアル作りにコミットしているので、機能が追加されたり、説明が大きく変われば、とりあえずネットで俄か知識を得たり、使ってみたりはします。でも実際の写真はなかなか満足のゆくものが作れないのが悲しい(笑)。

トーンマッピング(私も時々使います)は「CIE色の見えモデル02」と併用するのが良さそうなのですが、このモデルの使い方が殆ど示されていないのが難点です(でも、また記事を書くと思います)。

アンシャープマスクは、この記事でも書いたように、私はこのしきい値カーブを調整することはあまりしません(半径や強さの方は調整します)。最近、個人的には、ディテールレベルのコントラストを弄る方が、出来栄えが良くなるような気がして多様しています。
961832p
2014年03月09日 19:15
返信ありがとうございます。

なんと!日本語マニュアル作りに参加されているのですね。RawTherapeeの理解を深める上で、マニュアルはとても助けになっています。初期の頃とは違い、現在は複雑な機能も増えて翻訳作業も大変でしょうね。

CIECAMは追加された時に少し調べてみたものの、写真の展示会といった、照明などの環境が固定されている場合に使うのものなのかな~と、自分には無縁の項目に思っていました(笑)。カラーマネジメント関係は一筋縄ではいかない感じで、すべてを理解するのは大変そうです。

ディテールレベルのコントラストも、最近になって項目が増えましたね。そういえば以前、月を望遠で撮った時に使ったことがありました。変化が細かい部分だけを強調できたり、いろいろ使い道がありそうですね。

自分の環境だとメモリが少ないからか、たまに強制終了することもありますが、これからも発展し続けてほしいソフトです。
koppe
2019年08月13日 19:44
raw therapee 悩みながら使っています どうしてもわからないのがこれです アンシャープマスクを使いたいのですが、でも、このしきい値の「ピラミッド型カーブ」が実態的に理解できません そもそも数値が何を表しているのか。 これを操作されて、画像に変化が現れたことがありますでしょうか。それとも、おっしゃるように、デフォルトのままで使えばよろしいのでしょうか
教示ください
星垂婁
2019年08月14日 14:09

>koppeさん

当ブログへお越しいただきありがとうございます。
、と言うより、投稿があった旨を知らせるメール機能が無ければ、貴方の質問を知ることはありませんでした。
それほど、自分のブログを放置している次第でした(RawPedia:マニュアルの更新は何とか継続しています)。お恥ずかしい。

ご質問の件ですが、結論から言えば、恐らくこのしきい値スライダーはデフォルトのままでいいのではないでしょうか。

変化を実感するには、画像を200%~300%(或いはそれ以上)に拡大して観察する必要があります。例えば、ダークトーン部分(画面左側のナビゲーターパネルのL*の値が20~30くらいの値)が含まれる画像を拡大して観察します。

アンシャープマスクを有効にして、半径60くらいで、適用量を300くらい以上にすれば、観察対象の輪郭がシャープになるのが分かると思いますが、同時にノイズも増幅されているのが分かると思います。ここでしきい値スライダーの左の上節点(インデントみたいな)をマウスでスライダーの中央付近まで大きく移動してみて下さい。ダークトーン部分に隣接する明るい部分のシャープニング処理は変化しないので、輪郭のシャープ感はある程度維持されたままですが、ダーク部分全体のノイズは大きく減ると思います。このようにして、意図しない画像部分でノイズ増幅やハロの発生が起こらないようにするために使います。

でも、ここまでの詳細な調整は、貴方が写真の専門家でない限り必要ないかもしれません。マニュアルの
ディテールタブの”詳細レベルによるコントラスト調整”の説明が参考になると思います。私もシャープニングの
しきい値スライダーは使いません。普段、画像を見るのはノートブックPCですし、印刷は大きくてもA4サイズまでなので必要ないと
思っています。

尚、スライダーに表示される数値は、英語版のマニュアルにも説明がないのではっきりしたことは言えませんが、
絶対輝度の表示かもしれません。画像のダークからハイライト部分を尺度的に表示している気がします。

拙い説明で申し訳ありませんが、更に疑問点があれば分る範囲でお答えします。

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